すべての社員に「全体最適の視点」を持たせる
正念場を迎える日本企業
世界経済の混迷、円安による物価高騰、少子高齢化、日本企業はいま正念場を迎えています。この厳しい環境下で、企業の現場で働く社員に求められるのが「全体最適の視点」です。
部分最適が引き起こす組織の問題
社員が「全体最適」の視点を持たずに「部分最適」の視点に陥ると、以下のような問題が生じる可能性があります。
部門間の対立と協力不足
各部門が自部門の利益や目標だけを重視し、他部門との協力が不足すると、部門間で対立が生じ、情報共有や協力が不足します。これにより、日常業務に悪影響が及ぼされ、効率的な業務運営が妨げられます。
リソースの無駄遣い
各事業やプロジェクトが自分たちの都合でリソース(人材、時間、予算など)を要求することで、リソースの不適切な配分が発生します。その結果、他の重要な分野にリソースが不足する可能性があります。
重複した業務やプロジェクト
各部門が独自の目標を追求するあまり、重複した業務やプロジェクトが発生することがあります。これにより、企業全体の効率性が低下し、リソースの浪費が発生します。
戦略の不一致
企業全体の戦略や目標に対する共通理解が不足すると、各部門が異なる方向に進むことがあります。この結果、企業全体の戦略が分散し、目標達成が困難になります。
これらの問題の根底に「部分最適」の視点が潜んでいるのです。
「全体最適の視点」とは
「全体最適の視点」とは、組織で働く一人ひとりが高い視点から会社全体を見渡し、自分の業務や行動が会社や組織全体にどのように貢献しているかを考える能力です。具体的には、以下のような判断を行います:
自分の業務や行動が「全体最適」に寄与しているか?
部分最適になって組織に不利益を与えていないか?
会社が成長していくために今自分がやるべきことは何か、
また止めるべきことは何か?
この視点を全ての社員が持つことで、企業は生産性の高い組織へと変わり、成長への道筋が開けます。
全体最適の視点が組織全体に浸透することで、会社は劇的に変わっていくこととなります。
全体最適の視点を醸成するための方法
全体最適の視点を全ての社員に持たせるためには、以下の方法が有効です。
1.経営戦略の浸透
「自社が何を目指すのか」経営戦略やビジョンを全社員に浸透させ、共有することが重要です。全体像を把握することで、社員は自分の役割とその意義を理解しやすくなります。
2.情報のインプット
企業経営に関連する様々な情報に社員が触れ、現状だけでなく過去から将来に向けた時間軸における全体像をストーリーとして理解していくことが重要です。これにより、全体最適の視点を持ちやすくなります。
3.協力関係の構築
部門間での協力を促進し、情報共有を強化することで、全体最適を目指す姿勢を育てます。協力関係が生まれることで、飛躍的な生産性向上が期待できます。
全体最適の視点を持つことは、組織全体の効率性と効果性を高めるために不可欠です。この視点を全社員が理解し、実践することで、企業は持続的な成長を遂げることができます。
詳しくは会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント (日本経済新聞出版2016年3月1日)をご参照ください。
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